ここは僕の思いの墓場だ
友人のHから、娘の一輪車教育でEに会ったと言われた。
Eは僕が昔からずっと好きだった人だ。
Eが結婚して、子供が3人いるという事や、結婚相手が良くない噂があった別の同級生だという事も知っていたが、そんなに遠くない場所に、生きて存在しているんだなぁと思うと、心中では動揺を隠しきれなかった。
いろいろな思いで、胸が詰まる。と言うやつだ。
Hは結婚相手の事の事を、その良くない噂しか知らなかったので、
思わずなんであんな奴と!?と言ってしまいそうだった。と言っていた。
そして、君と結婚すれば良かったのにね。とも。
相変わらず優しい奴だ。きっと僕の心中を察したのだろう。
僕は「結局、そういう事なんだろうね。(僕が好きだったEは、人を見る目が無いんだろうね)」とだけ言って話を流した。
この()の中の言葉は、僕の心に対して頭が言った言葉だ。
こう思おうとしたのだ。
だが現実的には、Eの結婚相手が県庁の公務員である事も聞いていたし、それがコネらしかったという事も知っている。
どうであれ、うだつの上がらない経営者の僕よりは、安定していると言えるだろう。
それに住んでいるところは新興住宅街だ。マイホームに住んでいるという事だろう。
だから、Eは人を見る目があるんだろう。
周りの評判が悪い人でも、きっと良い所を見つけて一緒になったんだろうし、子供を一輪車教室に通わせるくらいに余裕もあるんだろう。
という事で、僕が心に伝えた言葉は、ものすごい負け惜しみでしかなかった。
恥ずかしいし、なんだか涙が出そうだけど、受け入れるしかない。
知らなくてもいい情報を、偶発的に知ってしまっていても、
何かをする訳でも、何かを起こす訳でもない。そうすべきでもない。
僕は目の前にあるタスクをこなさなくてはならないし、
目の前にいる人達も幸せにしたいし、それで僕も幸せになりたい。
その僕の範囲には、Eや結婚相手は関係がないだけだ。
僕はこの淡い思いを殺したくなかった。
とっくの昔に過ぎ去った日々を、大事に取っておきたかった。
だから、Eについての現在のいかなる情報もいらなかったんだ。
何物にも代えられない、大切な思い出として心に取っておきたかった。
いい加減に、変わるべきは僕なんだろうな。
良い機会だから、ここに僕の思いを埋めて供養します。
RIP せめて良い夢を。